今や名古屋は優秀な不妊治療医が集結し、理想の不妊治療を探求し切磋琢磨している都市であり、患者さまの選択肢は多岐にわたっています。「患者さまの負担を減らす」「廃棄卵を減らす」という明確な理念のもとに、クロミフェン製剤で卵巣刺激を行う体外受精をベースに独自の治療法『簡易体外受精』を確立し、成果を上げているのが『稲垣婦人科』(愛知・名古屋)院長の稲垣資郎先生です。
『稲垣婦人科』では、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療も行っていますが、妊娠のリミットがある女性にとって、医療のアシストでは巻き戻せない時間は重要とのスタンスから、「初診は奥さまのご年齢が41歳まで」、「40歳以上の治療は体外受精のみ」との年齢制限を設けることで、早く治療に踏み出すよう促しています。ホームページには、稲垣先生が翻訳した“自然妊娠する確率判定サイト”(オランダの大規模な調査研究で有用性が証明されています)が紹介されています。奥さまの年齢や不妊期間、精液検査の結果などを入力すると、1年以内に妊娠できる確率が瞬時に計算できるというもの。治療のステップアップをすべきかどうかの見極めに、ぜひ活用してみてください。
「例えば人工授精は、性交後試験が悪いけれども精液所見は良いというようなご夫婦には有効ですが、この治療方法で乗り越えられる障害は限られていますよね。性交後試験がすごくいいご夫婦には、人工授精はおすすめできません。治療のステップを順番に上がる必要はありませんので、そのようなお二人は、早めに体外受精を考えたほうが遠回りにならないでしょう。
今の日本の高度生殖補助医療は、刺激周期体外受精で、たくさんの胚を得て凍結し、凍結胚移植を行うのが一般的ですよね。でも、排卵誘発剤を注射して、たくさんの卵を育てる刺激周期の場合には、誘発にかかる費用も高くなり、通院回数も増え、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクも上がってしまいます。私は、患者さまの身体の負担を減らすのは、やはり妊娠するために本当に必要なだけの数の卵を、余分な薬剤を使わずに自身のホルモンで育てるクロミフェン製剤で卵巣刺激を行う体外受精だと考えています。
注射の排卵誘発剤による刺激周期に比べて卵の数があまり採れない分、採卵の回数を重ねなければならず、かえって妊娠までに費用や時間がかかるのではないかとご心配される方がいらっしゃるかもしれませんね。でも、そのご心配は無用です。『稲垣婦人科』では、採卵を行った結果、万が一、それが変性卵であったり、多精子受精で移植できなかったりした場合には、その後6カ月以内ならば、移植できる胚ができるまで(2回を限度に適用)、無料で採卵をさせていただいています。クロミフェン製剤を用いた体外受精ならば、卵巣が腫れることもなく、続けて毎月採卵しても体の負担にはなりませんので、安心して受けていただけます。また、クロミフェン製剤でも余剰胚ができる方は少なくありません。そのような場合には追加培養し、胚盤胞になったものを凍結保存しています。実は、この培養費用も、凍結費用も、うちではいただいていないんです。移植することになったときにはじめて、凍結融解胚盤胞移植の費用としてご負担いただいています」。
『稲垣婦人科』の体外受精の費用設定には、患者さまのチャレンジリスクを最小限に留めようという稲垣先生の思いが反映されています。診療時間も、月、水、木曜日は、19時までと遅く、お仕事のある方も通院しやすい配慮がなされています。
「全国的に見ますと、クロミフェン製剤を用いた体外受精の妊娠率は10%程度で、費用対効果が良いとは言いにくいですよね。
ところが、当院の体外受精の妊娠率は30%を超えているんですよ。もちろん、培養や胚移植の技術にも自信がありますが、妊娠率を引き上げている要因の一つは、刺激周期にエストロゲン製剤を投与しているところにあると思っています。クロミフェン製剤は、排卵率は上げるけれども、妊娠率は下げるとする有名な論文があるのをご存知ですか? 実はね、排卵障害のない人……、言い換えると月経不順じゃない人には、クロミフェン製剤の効き目は強すぎるんです。そこで、クロミフェン製剤を使いはじめる前に、エストロゲン製剤を投与することで、疑似的に月経不順状態にし、クロミフェン製剤が理想的に働く環境をつくり出すわけです。エストロゲン製剤の投与量で採卵日の微調整も可能になりますので、その方が持っている本来の卵の質を下げることなく、適度な数の卵を採ることができるようになるというわけです。受精卵の細胞分裂を観察すると、むしろ従来の体外受精より綺麗に細胞分裂することが分かりました」。
薬を気軽に多用しない、使う限りは上手く利用する、目からウロコのお話でした。そのさじ加減の見事さは、『稲垣婦人科』の体外受精の実績が証明しているといえるでしょう。
「国内では凍結胚を用いた治療が増加し、今やARTの全治療周期の約2分の1を占めています。
ただ、この流れは、根底に注射薬タイプの排卵誘発剤を使い、たくさんの卵を採ることを目指す刺激周期があるわけですよ。多胎妊娠を避けるため、日本産科婦人科学会のガイドラインで、胚の移植数は原則1個とされて以来、着床率を上げるため、日本では胚盤胞移植を目指すようになりました。胚盤胞にまで育つ胚を得るためには、たくさんの受精卵が必要という発想から、刺激周期が主流になっていったわけです。
私は、必要最小限の良質な新鮮胚を得て、速やかに採卵した周期に妊娠できれば、薬剤の投与量も減り、身体的な負担は軽く、通院回数は少なく、通院期間も短くて済むと考えていますので、基本『稲垣婦人科』では、現在でも『新鮮胚移植』での妊娠を目指しています。
この姿勢を貫いてきた結果、とある新聞社調べでは、新鮮胚移植での妊娠症例数は、愛知県では一番、国内でも非常に多いほうの施設になっていまして、自分でも驚きました」。
そう言って笑う稲垣先生の笑顔には、いかにも柔和なお人柄がにじみ出ているのですが、患者さまのため独自の治療法を編み出そうとされる探求心や、医師としてのポリシーを守り抜く姿勢に妥協はありません。
「一度には戻しきれない数の胚ができれば長期培養し、着床率の高い胚盤胞の状態で凍結保存するのは『稲垣婦人科』でも同じですが、刺激周期の場合には、一生かかっても戻しきれないほどの余剰胚ができてしまうことがありますよね。その胚は、どうなると思いますか? 患者さまの同意を得て、研究目的やトレーニング目的での使用に使う施設もありますが、それでも最終的には廃棄の運命ですよね。iPS細胞が見つかってからは、卵子をつかったES細胞の研究は下火になっているでしょう? 集計こそされていませんが、ただ単に捨てられていく胚は、おびただしい数になっていると思いますよ。
僕は、産婦人科医ですから、いのちをこの世に送り出すのが仕事です。赤ちゃんになる可能性がある胚を、みすみす廃棄することに鈍感にはなりたくないですね。“ご夫婦の妊娠を望む気持ちに応えたい”、それと同じくらいの熱意を持って“廃棄される胚を減らしたい”と思っているんです。医療者として、廃棄に抵抗を感じる神経を大事にしたいのです。
今の不妊治療は、すっかり商業ベースになって、着床率の数値だけを追っているでしょう。確かに、胚盤胞のほうが着床率は高いですが、早めにお母さんのおなかに戻してあげることで、生きながらえる胚だってあるんですよ。僕は、患者さまの胚を大事に考えていますので、初期胚移植も積極的に行っています」。
転院希望の方には、「もしも、前院に凍結胚が残っているのであれば、移植してからお越しくださいね」とお伝えになるそう。現代日本の不妊治療に一石を投じる、稲垣先生のお話に、改めていのちの尊厳を考えさせられた取材でした。あの直径0.2oに満たない小さな胚を大切に大切に思ってくださる稲垣先生なら、患者さまのことは、本当に親身に考えてくださるに違いありません。
結婚しているご夫婦の10組に一組は不妊で悩んでいらっしゃいます。
稲垣婦人科クリニックは不妊治療に集中してスタッフと共にとりくんでいます。
この分野の医学はいまどんどん進んでいます。 みなさまのご家庭にお子さまが恵まれますよう最新医療技術を研究して治療にとりいれています。
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