2014年秋にリニューアルされた『操レディスホスピタル』(岐阜市)は、JR岐阜駅より15分、金華橋を渡って北西すぐの場所にあります。陽をたっぷり と取り入れる工夫がなされた院内は、輝く長良川の水面のように明るく、居心地のよい空間です。お産で人気の、歴史ある『操レディスホスピタル』ですが、現 院長の操良先生は岐阜大学医学部付属病院で長年不妊専門外来を担当してきた、岐阜県下初の体外受精に成功したドクター。不妊治療に注ぐ思いにも、ひとかた ならぬものがあります。
お休みがあってないような産科と兼ねながらの不妊治療は、相当なハードワークであることが想像できますが、それでも『操レディスホスピタル』では患者さまの希望を反映させたオーダーメイド治療を心がけておられるそうですね。
「私たちの不妊治療のコンセプトといいますか……根幹は、患者さまに“選んでいただくこと”にあるんです。それを可能にするため、まずは十分な情報提供を 心がけています。すべての患者さまに“今、自分がどのような治療を受けているのか”、“どのような段階にあるのか”、さらには“自分たちには、どのような 選択肢があるのか”を把握していただき、“治療の進め方を自身で決めている”と感じてもらうことが目標です。患者さまが自ら選ぶことができてはじめて、納得のいく治療が受けられるのではないでしょうか。
初診の方については、まず医師が診察を行う前に、専門スタッフ(看護師や胚培養士)が、じっくり時間をかけてお話をうかがうことで、ご夫婦の不妊治療に 対するご希望や、治療歴、不妊期間などの背景を把握するようにしています。これは、すべての患者さまに行っていることです。
聴き取らせていただいた内容をまとめたカウンセリングシートをもとに、はじめて医師が診察します。そうしますと、転院して来られた方の希望の欄には、 “治療内容を、もう少しくわしく説明してほしかった” “もっと、こちらの話を聞いてほしかった”とある……。前に通っていた病院では、希望を聞き入れてもらえず、納得できる不妊治療が受けられなかったとの苦 しい思いをもらされる方が案外おられるんですよ。どうにかしたい……と感じました」
妊娠してからの母子のことも考えるからこそ、『操レディスホスピタル』では副作用の少ない、漢方療法に積極的だとうかがいました。
「はい、漢方薬を用いた妊娠しやすい体づくりも、当院の大きな特徴の一つだと思います。漢方薬は非常に多くの種類を取り揃え、患者さまのお一人おひとりに合わせた処方をしています。“漢方薬は高価だから……”とご心配される方もおられるかもしれませんが、保険診療内での投薬ですので、長期間服用していただきやすいと思います。
初診カウンセリングでうかがう内容の中に、漢方薬を使用したいかどうかをたずねる項目もあるんですが、ほとんどの方……、98%の方は漢方療法を希望されますね。みなさん漢方薬には、西洋薬と違って体にやさしいというイメージをお持ちなんだと思います。実際、天然の生薬(草根木皮)ですので副作用も少なく、妊娠してからも安心して使い続けることができます。女性の病気には、体内に何らかのひずみが生じてアンバランスになった状態が原因で起こる症状が多いもの。漢方薬は、そんなバランスを整えることを得意としています。また、西洋医学的な検査では異常とされないような冷え性や月経不順などの不調にも有効ですね。
不妊治療においては、補助的な位置づけで、初期段階のタイミング療法の時期から、体外受精や顕微授精などのARTの段階まで、全般を通して漢方薬を取り入れています。黄体形成ホルモン(LH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促すことで、排卵を誘発したり、習慣流産の予防に用いたり、排卵誘発剤やホルモン補充療法と併用することで、その効果を高める目的で用いたりします。オーダーメイド治療の姿勢は、漢方療法においても同じ。その方の治療段階や体質に合わせて処方しています。
また、男性不妊に対しては、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や八味地黄丸(ハチミジオウガン)などの処方で精液状態の改善を狙います。なお、月に1度、第2土曜日の19時から21時というご主人も通院しやすい時間帯で男性不妊外来を設けています。生殖医療専門医と泌尿器科専門医の両資格を持つ医師が診療を担当していて、院内で精巣内精子回収手術(TESE)が実施できるため、無精子症の方でも、精巣内に精子が見つかれば顕微授精(ICSI)による妊娠が期待できます」
不妊治療の第一歩目を初診カウンセリングで患者さまの話を聞くところからはじめる『操レディスホスピタル』ですが、理解してもらう努力、ご希望を聞く姿勢は、治療のステップを上がってからも、ずっと続きます。
「体外受精を検討される方には『体外受精教室』を行って治療内容を理解していただいていますが、体外受精や顕微授精を繰り返してもなお、妊娠に至らないような方に対しては培養士による『ステップアップ教室』を開催しています。培養液の種類のお話、卵巣刺激法、移植法のバリエーションを解説して、その後、ご夫婦の希望をヒアリングしています。医療側も反復不成功例の方に対しては口をつぐみがちになりますが、むしろそのような状況だからこそ、時間をかけて患者さまの思いに耳を傾け、一緒に作戦を練ったり、治療終結の苦しい決断を受け止めたりする必要があると思うんです。不妊カウンセリングも必要に迫られたタイミングでお申し出いただければ、専門スタッフが対応させていただいています(通院されていない方でもOK)」
人気の病院で混んでいそうなイメージですが、常に医師3、4人が診察できる体制を整えています。また待ち時間を減らすべく、WEB予約も導入され、来院を希望される方の多い土曜日は、嬉しいことに午後の診療枠も設けられています。受付後はPHSでの呼び出しになりますので、駐車場に停めた車の中で待つといった選択も自由。
「懸命な治療のすえに授かった命に関しては、出産までしっかり見届けたいという思いが、より一層強いですね……。遠距離通院の方でも、ARTまで進んだ方は、ここで産みたいとおっしゃってくださいます。ですからARTで妊娠された方の妊婦健診については、私が担当しています。妊娠中の合併症に、妊娠高血圧症候群(PIH)があるのは、ご存知ですよね。このリスクを上げてしまう要因が、35歳以上、初産、多胎、肥満(BMI25以上、または55kg以上)、もともと血圧が高めといったものなんですが、ART治療の方は、どうしても年齢が高めになって、このリスク要因に当てはまるケースが増えてしまいます。実は、当院が最近導入したシステムに血圧見守りサービスがあります。妊娠中、血圧計をお貸し出しするんですが、計測の都度、結果が病院に自動送信されてきますので、急な変化を見逃さず、母子の安全を見守ることができるというわけです。中部エリアの周産期の病院では初導入です。
最近は、産科と不妊治療専門施設がわかれる傾向にありますが、本来、不妊治療で授かった命は、誕生まで責任を持って診るのが理想だと考えています。私たちが目指しているのは、単なる妊娠判定の陽性反応ではなく、健康な妊婦さんと安全なお産なんです」
『操レディスホスピタル』の患者さまは、お二人の腕に赤ちゃんを抱かれた状態で、晴れて卒院の日をお迎えになるんですね。インタビューの最後に、院内を自ら案内してくださった操先生。吹き抜けになった待合室は、陽だまりになっていて、閉塞感をまったく感じさせません。病院2棟をつなぐガラス張りの渡り廊下は、夜になると、まるで灯台のように輝いて、夜遅く通院される患者さまを気遣うように誘います。不妊に悩んだみなさんが待ちに待った赤ちゃんを迎える場所にふさわしい、柔らかな陽ざしの差し込む、温もりを感じる施設にしたかった、そんな思いをお話しくださった操先生でした。「不妊治療で並走してくださった先生たちに、私たちの赤ちゃんを取り上げてもらいたい!」という思いを原動力に、治療に前向きになれそうな病院です。
女性のためのホスピタル、そこはぜひ心地いい場所でありたいと、院内には、陽ざしをやさしく受けとめ、ぬくもりを保ちつづけるおだやかなマテリアルと色調を配しました。
此処は、新しい家族の一員を迎える「誕生」のステージであり、ときには「健康」と対峙する場でもあります。
人生のある瞬間を私どもに委ねてくださる方々に、医療体制と医療環境を万全にし、真摯に向き合いたいと思います。
いい思い出を残しエントランスを後にされますよう、サポートをさせていただきます。
何なりとご遠慮なくご相談ください。
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