2024年6月で開院22年目を迎えた『Kobaレディースクリニック』(兵庫・姫路)の新院長に、同月、加藤徹先生が就任されました。前院長の小林眞一郎先生は、日本における【単一胚盤胞移植のパイオニア】にして、加藤先生にとっての不妊治療の師。母子の安全を最優先としたKoba流を継承し、播州地区で最初の『着床前診断(PGT)』の日本産科婦人科学会認定施設として難治症例の患者さまを支えています。
「私どものクリニックでは、体外受精などの生殖補助医療を行う場合には、月経初期の排卵誘発剤を使い始める日から、卵子を体外に採り出す採卵当日までで、平均4、5回は通院していだいています。もしかすると他院より、わずかに多めなのかもしれません。でも、むしろそこに当クリニックの特徴が顕れていると思っています。
体外受精では、排卵誘発剤を用いて一度に複数の卵子を育てますが、採卵準備のためのトリガーとなる薬剤を使うタイミングが非常に重要で、最終的に妊娠できる胚が得られるかどうか、成績を大きく変えると考えているのです。それは、非常に繊細で、超音波で卵子を包む袋である卵胞サイズを測ってトリガーをかける時期を見極めるわけですが、成功するか否かが1ミリ単位で変わると思っています」
最近では、働きながら通院される女性がほとんどですので、通院回数は1日でも少ないほうが喜ばれるのかもしれませんが、【トリガーをかけるタイミング】を誤れば、得られる胚すべての質にかかわってきますので、やはり丁寧に見極めたいと加藤先生はおっしゃいます。
「うちの場合、体外受精の治療に入られた患者さまを診るのは、僕一人です。つまり、卵巣刺激スタートから採卵まで、一人の医師の目で卵胞を計測するということも測り方にバラつきがなく、成績を伸ばせている要因だと考えています。
また、卵巣刺激法も画一的に行うのではなく、その方のAMH(抗ミューラー管ホルモン)検査、卵巣機能の状態、身長体重などから、この方にはこの刺激法で、さらに注射薬は何単位で行こう…といった」
1回の採卵で複数個、胚が凍結できて、その胚で1人目にとどまらず、2人目、3人目とご妊娠される方も多いそう。「トリガーのタイミングを慎重に見極めるために、もう1日、多めに来院してもらうことで、患者さまの未来を大きく変えられる可能性がある」と加藤先生は話されます。
「AMH高値の多嚢胞性卵巣症候群、いわゆるPCOSの方は、一般的に卵子の質が良くないというようなイメージをみなさん持たれているようですが、そうではないと思います。これも、さきほどの話につながってくるんですが、PCOSの方は非常にたくさんの卵胞が一気に育ってきますので、医師のほうでも若干焦って、採卵のためのトリガーをかけるタイミングが早めになりがちなんですよ。その結果、“成熟卵が採れない”というだけだと、僕は考えています。きちんとベストなタイミングまで引っ張ってあげれば、ご年齢相応の卵が採れますよ」
ただ、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にもなりやすいので、注射の単位は気を使っています。PCOSの方には、アンタゴニスト法を用いることが多いのですが、AMHが10を超えるような方はOHSSリスクが非常に高いので、あえて内服薬と少量の注射薬で5、6個程度の採卵数を目指すなどして、十分、安全に配慮しています」
絶妙の匙加減で、患者さまお一人おひとりに合わせた【オーダーメイド治療】を実践されていると感じました。「この規模の病院だから、できることでもあるかもしれませんが、そこは強みだと考えています。結果、成績を落とさないことにもつながりますので」と加藤先生。
胚盤胞の状態の胚から組織の一部を採って染色体異常の有無を調べる『着床前診断(PGT)』ですが、姫路市にお住まいのご夫婦で奥さまが43歳未満であれば、助成金が出るそうですね? 全国的にも珍しい、より踏み込んだ助成制度ですね。
「はい。姫路在住の方で、条件に該当する方には、ぜひ助成金をご活用いただき、治療の選択肢を増やしていただきたいですね。PGTはエビデンスのある治療ですので。保険治療で何回か治療を受けたけれども繰り返し不成功となっているケース、流産を繰り返しておられる方などは、PGTで正常胚を見極めてから戻したいと思われるのでしょう。他院で体外受精が反復不成功になっているような方がPGTを目的に転院を希望して来られるケースが増えてきていますね。PGTを行うと体外受精全体が自費診療になってしまうわけですが、助成金額もかなりの額が出ますので、市のホームページでご確認されてみてください。奥さまが40〜42歳の場合、保険治療で行える移植回数は3回までですが、このチャンスを使い切ってしまった後に、当クリニックのPGTで正常胚を得て、妊娠されているケースも結構あります。最初から保険治療を受けずに、自費でのPGTを希望されるご夫妻もおられます。
またそれとは逆のお話になりますが、不妊治療のゴールって、本当に難しいじゃないですか…。そのような時、着床前診断を受けてみて、“正常胚が1個もできない”という結果が出ることで、それを気持ちの区切りにされるご夫婦もおられますね」
「2022年4月から体外受精などの生殖補助医療にも健康保険が適用されるようになってから、自費診療だった時代ほどではなくなりましたが、不妊治療って、オプションでアレもコレもと必要以上に患者さまに負担を強いる商売的な治療に陥りやすい分野だと思うんです。だからこそ、その方の妊娠に本当に必要な治療だけを取り入れ、患者さま負担は費用のことも含めて最小限にしつつ、良い成績を出すというということを心がけています。
それから、当クリニックで行っているオンライン診療ですが、兵庫県は、なかなか大きい県で、かなり遠方からの患者さまも多いので、そういう方々の通院負担を減らしたいと考えて導入しました。中部、北部には体外受精を行っている施設が、ほとんど ありませんのでね。オンラインで薬の処方もできますよ」
このほか『Kobaレディースクリニック』では、将来の妊娠・出産のためには、若いうちからのケアが大切として、『プレコンセプションケア』にも力を入れておられます。月経困難症などがある女性は、思春期からでもピルなどの薬剤を用いて早期介入しておくことが、重い子宮内膜症や子宮腺筋症を防ぎ、ひいてはスムーズに妊娠できる可能性を高めることになると話されます。「痛みは我慢しないで。鎮痛剤は痛みをとるだけで、病巣の悪化は防げません。仮に、自分の娘に症状があれば、すぐにでも低用量ピルの服用を開始するようにします」と加藤先生。
とてもお話しやすい、柔らかな雰囲気にして、常に患者さまの立場にたって、医療を提供されている加藤先生。尻込みしてしまい、なかなかはじめの一歩が踏み出せずにいる方は、まずはオンライン診療で言葉を交わしてみてください。きっとうれしい未来につながっていくことと思います。
ホームページより
私は、2022年からkobaレディースクリニックで副院長として働かせていただき、2024年6月から新たに院長として診療をさせていただいております。
当院は、体外受精が日本で始まった1983年から兵庫医科大学病院で体外受精に携わってきた小林眞一郎前院長が、2003年に不妊治療専門クリニックとして開業し、患者さんに合わせた適切な治療を提供することを信条に診療を行ってきました。その結果としてこれまでに非常に多くの患者さんからお喜びの声をいただいてきました。
私が赴任後は、以前からの治療方針に加えて、着床前遺伝学的検査を始めとした、最新の知見や医療機器を積極的に導入した、最先端の治療を提供する事を目指して日々進化しております。その結果として、当院の治療成績は更に高水準なものとなっております。
これからも、なかなかゴールの見えない不妊に悩んでいる患者さんに福音をもたらせるよう、全力を尽くしますので、是非皆様のお手伝いをさせて下さい。
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