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不妊に強い頼れる病院特集

CMポートクリニック
院長 安部 裕司 先生

CMポートクリニック院長 安部 裕司 先生

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インタビュー

CMポートクリニック インタビューTOP写真

すべての患者さんの担当医として、全責任を負う覚悟で臨んでいます

眼鏡を頭の上にちょこんと乗せて「これが私のトレードマークなんです」と、朗らかな笑顔で取材班を迎えてくださった『CMポートクリニック』(横浜)の院長・安部裕司先生。受付では『アンパンマン』のジャムおじさんの人形が、どこかで出会ったような笑顔で、にっこり患者さんを出迎えています。採光のために設けられた吹き抜けの中庭に陽が降り注ぎ、待合室は地下とは思えない明るい印象。患者さんの気持ちを少しでもほぐしたいという気遣いが、院内のあちこちに感じられました。

患者さんの信頼に応えたいから、
医師一人で日祝も休みなしの10年

CMポートクリニック インタビュー写真1

「『CMポートクリニック』の最大の特長といえば、やはり医師が一人であることと、しかも、それでいて休みなく診療しているということでしょうか。平成18年に開院して以来、休診は夏休みと正月のみ。それが、患者さんのデメリットを極力減らすことになると思ってやってきました」

とてつもない苦労をサラリと話される様子に、思わず「開院から10年、日曜日も休まず、院長先生お一人で診察してこられたのですか!?」と、安部先生のお話をさえぎってしまいました。

「よく患者さんにも、いつ休んでいるのかと驚かれます。私は、多少自分がしんどい思いをしてでも、当院を頼って来られる方を“私の患者さん”と呼びたいのですよ。自分一人ですべての患者さんの状態を把握して、全責任を負いたい……、ほかの人にお任せできない性分なのです。常に一貫した治療方針で、すべてを把握している医師が診療にあたり、安定した技術レベルの医療を提供できる、この環境は、患者さんにとっても大きなメリットなのではないでしょうか。本当であれば、きちんと出産まで診たいくらいなのですが、不妊治療中の患者さんにとって、妊婦さんと同じ待合室になるのはとても辛いことですので、私のもっとも得意とする不妊治療に専念してきました。
ただ、医師一人という状況にも問題はあります。本来であれば、不妊治療は卵胞の成長に合わせて実施されるべきですが、医師が一人の場合、どうしても休診日だけは避けざるを得ませんよね。患者さんに、このようなデメリットを押し付けないためには、自分が休みを返上する以外にないですから。火曜日、日曜日、祝日だけは、特殊不妊外来(10時〜13時)ということで、この日の診察が欠かせない方だけに限らせていただいていますが、体外受精などのARTの患者さんだけではなく、タイミング療法やAIH(人工授精)の段階の患者さんであっても、その日に診ておく必要のある方であればお越しいただいています」

祝日すらお休みされないという安部先生のストイックな姿勢には、本当に驚かされました。 JR新横浜駅から横浜市営ブルーラインで10分のセンター南駅が最寄りの『CMポートクリニック』。この周辺は、若い世代の夫婦も多く、働く女性の割合も多いとか。当然、終業後や土曜日の診察を希望される方も多くおられるため、受付は18時まで行い、土曜日も午後診療を実施されています。
「もちろん、こんな無理ができているのも、私の治療方針に賛同して、“患者さんのためなら”と、この診療体制を理解してくれるスタッフがいればこそ」と、安部先生。


患者さんの負担をできる限り小さく!
ムダな検査、投薬、治療はしません

CMポートクリニック インタビュー写真2

「20代の方であっても、“もうタイミングは十分です。とにかく早く欲しい”と希望されるようなケースや女性のご年齢が非常に高いケースであれば、最初から体外受精を行うこともありますが、基本的には不妊検査を行ってみて可能性があると判断される場合には、タイミング療法からAIH(人工授精)、それでも妊娠できなければ体外受精へと進むステップアップ治療をベースにしています。こうすることで、患者さんの身体的、経済的、心理的な負担を最小限に抑えることができると考えているためです。有効回数の指標としては、タイミング療法6回、AIH7回とお伝えしています。
ムダな検査、ムダな投薬、ムダな治療は行わない方針で、患者さんの身体にも心にも優しい不妊治療を目指しています。例えば、自然周期で規則的な排卵がある方に対して、むやみに排卵誘発剤を用いることや、ご自身の黄体ホルモンが十分分泌され高温期が10日以上続いている方に黄体ホルモン剤を出すことはいたしません。また、超音波検査で卵巣内に小さな卵胞(胞状卵胞)がたくさん確認できる、卵巣予備能のありそうな方に対して、わざわざ高額なAMH(抗ミューラー管ホルモン)の検査をすすめるようなこともいたしません」

「患者さんの負担を減らすつもりが、できることはすべて試してみたいと感じておられる患者さんに、ごくまれに手を“尽くしてくれない”と誤解されてしまうことがあるのが辛いところですが……」と話してくださった安部先生。それでも、「私一人が、治療経過のすべてを見ているからこそ、そのご夫婦に本当に必要なものを見極めた、オーダーメイド治療が、ご提供できている自信があります」と、きっぱり断言してくださいました。


フレンドリーARTがモットー。
顕微授精は本当に必要な方だけに

CMポートクリニック インタビュー写真3

「体外受精などのARTにおいても、患者さんのあらゆる負担を最小限に抑えた “フレンドリーART”が基本コンセプト。まずは、月経3日目に超音波検査と血中検査を行い、卵巣の状態とホルモン値(E2、LH、FSH)を確認して、卵巣刺激の方法を決めています。卵巣に負担をかけないように、飲み薬タイプの排卵誘発剤(クロミッド)を用いた低刺激周期を選択するケースが多いですが、胞状卵胞が極端に少ない方や逆に20代の若い方などには完全自然周期をおすすめすることもあります。また卵巣刺激を行う場合も、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を避けるため、ロング法やショート法ではなくアンタゴ二スト法を採用しています。
新鮮胚移植をする場合は、最も良好な胚1個を初期胚(分割期の胚)で移植し、残った胚は長期培養をして胚盤胞になったものだけを凍結するようにしています。初期胚での移植を試してみるのは、長期間の体外培養での胚の負担を減らすため。残りを長期培養するのは、無駄な凍結を防ぐため。全胚凍結するときには、最も良い胚を初期胚で凍結し、余剰胚は胚盤胞になったものだけを凍結するという方法をとることで、移植する胚がなかったという状況を避けるようにしています。
『CMポートクリニック』は、体外受精3に対し、顕微授精が1くらいの割合。でも、ほかの不妊治療施設は割合が逆になっているところが多く、日本全体でも顕微授精のほうが多く実施されていますよね。本当に顕微授精が必要な、重度男性不妊の方や受精障害のある方が果たしてそんなにおられるのか、たいへん疑問に思っています。体外受精で赤ちゃんを授かることができるご夫婦に、リスクがゼロではない顕微授精を行うのはオーバートリートメントではないでしょうか。
当院では、精液所見に深刻な問題がなければ、まずは体外受精を行い、受精しているかいなかを通常よりも早めの段階(夜間7時頃)で見極めています。受精していないことがわかった段階で、即座にレスキューICSIを実施することで、本当に必要な方だけに顕微授精を行うようにしています。スプリットと呼ばれる、採卵できた卵を半分にわけ、一方は体外受精で、残る一方は顕微授精で受精を目指す方法もありますが、当院では行いません。なぜなら、万が一、体外受精で受精しなければ、貴重な卵の半分をダメにしてしまうことになりかねませんし、仮に受精すれば、半分に不必要な顕微受精を施したことになってしまいますので。幸い私の理念に賛同してくれる培養士スタッフに恵まれ、非常に技術を要するレスキューICSIですが、きちんと妊娠という結果を出してくれています」

レスキューICSIを行うためには、早朝に採卵を行った場合、その日の夜に受精の有無を見極める必要がありますので、培養士さんの勤務時間が長くなりがちで、技術も必要なため、患者さんのためにやってあげたくても人材の確保という面で実施が難しい施設が多いとのこと。ムダな処置で患者さんのデメリットや負担を増やしたくないという安部先生のポリシーは、治療全般で本当に徹底されています。


不妊治療は、私の人生そのもの。
そんな私を支えてくれるチームです

CMポートクリニック インタビュー写真4

あえて責任の所在をはっきりさせるために医師一人の道を選び、奮闘されてきた安部先生ですが、自ら築き上げた生殖医療チームには絶大な信頼を寄せておられるご様子でした。

「看護師さんたちが優秀なおかげで、日々の私の負担も軽くなり、10年休みなく病院をあけることができてきたのだと思います。とくに不妊カウンセラー資格を持った看護師が看護師外来を担当してくれるようになってから、納得して治療を受けてくれる患者さんが増えましたね。看護師外来も、基本的には予約制ですが、飛び込みでも時間にあきがあれば対応してくれています。
また、患者さんと最初に接するのが受付ですが、この最前線スタッフもスペシャリスト揃いで、不妊治療を深く理解していて、患者さんの異状に気がつく感度が非常に高いという点も、当院の強みです。もちろん最終的な判断は医師が行いますが、緊急度のトリアージにたけているので、患者さんに安全な治療を受けていただくのに一役かってくれています。例えば、“軽い出血があるけれど、仕事が忙しく平日は病院に行けないので、日曜日の予約をとりたい”という電話をかけていらした患者さんに対して、子宮外妊娠の可能性をいち早く疑い、本当に日曜日の予約でいいのかを私にきちんと確認してくれたために大事を逃れたケースもありました。
『CMポートクリニック』の一番の自慢は、スタッフの質の高さかもしれないですね」

ふと安部先生の余暇が気になり、ご趣味を尋ねると「仕事かな?」と笑っておられました。「人生の喜びは、患者さんを“おめでとう”と見送ることであり、“生まれました”という葉書をいただくこと」と話されたあと、「でもね……、本当に救われる思いがするのは、お子さんができなくて諦めざるをえなかった方から“『CMポートクリニック』で不妊治療を受けて良かったです”というお便りをいただくときかもしれません」と悲喜こもごもの表情でお話しくださいました。人生をかけて不妊治療をされている安部先生を信じぬかれた方なら、きっとそのようなお気持ちになるに違いありません。


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