随筆
一人目待ち
2019/05/17 14:43
今月から不妊治療を始めることになった。
ここには夫にも友人にもなかなか言い出せないことを書き留めていこうと思う。
不妊治療を始めるきっかけは先月。旅行に行く為に生理を遅らせるべく、婦人科を訪れた時のこと。
問診表の来院目的には予め選択肢が並んでいて該当のものに丸をつける様式だった。
私の目的であった「生理を遅らせたい」以外にも「子供が欲しい」という項目があったのでそちらにも丸をつけた。
結婚して4年。いわゆる"妊活"を始めて1年たつけれど子宝に恵まれないことが気がかりではあった。
せっかく婦人科に来たのだし、問診票にもわざわざ書いてあるのだからそれなら一緒に診てもらおう、という今思えばそんな軽い気持ちだったと思う。
診察室に呼ばれてすぐ、先生が「生理を遅らせたいんですね」と話を進める。
早めるのは難しいので遅めましょう、処方する薬はいつから飲んで下さいと淡々と話が進み
「では、外の待合いでお待ち下さい。」
と言われた。
まだ子供が欲しいという話題には触れていないけれど、デリケートな問題だし別の不妊専門の先生が診てくれるんだろうか?と勝手に思い待合い室へ戻った。もちろん次に私が呼ばれたのはお会計だった。
当たり前だろう。診察室はさっきの部屋で、私の診察はさっき終わったのだ。
問診票の項目を見落とした相手も悪いが、不妊についての話も聞きたいと言い出せなかった私も悪い。そう考えたらなんだか自分が情けなくなり、このまま知らんぷりをして帰ろうかとも思ったが、今日聞かなければいつ聞くんだと思い、会計のお姉さんに「申し訳ないのですが問診票に書いた来院目的が2つあり、まだ1つしか解決していないのですが…」と伝え、そのあと不妊の話を聞き、一通りの検査をして、まずはタイミング療法を行うことになった。
この日の出来事は先生や会計のお姉さん、他にも診察を待っていた方々にも迷惑をかけたと思うし、本当に申し訳ないと反省している。
先生に「外の待合いでお待ち下さい」と言われた時点でどうして「今日は不妊の話も聞きたいのですが」と私は言えなかったのか。
学生時代、性教育の授業では望まない妊娠を避ける為に避妊は必ずするようにと教えられてきた。
だから私は結婚前はもちろん、結婚後も妊娠を望まぬ間はずっと避妊してきたのだ。
周りをみてみると20代前半はいわゆる"デキ婚"をした知人が何人かいたし、20代後半になると結婚し子宝に恵まれる知人も増えてきた。
だから結婚し妊娠を望む今、私も避妊をしなければすぐに妊娠出来ると思い込んでいた。
妊活を始めてすぐは今妊娠したら何月生まれになるのか?顔は私と主人のどちらに似るのか?男の子か女の子どちらになるか?と楽しい気持ちでいっぱいだった。
しかし次第になかなか妊娠できないことに気づく。生理が来る度に今月も駄目だったのかと落ち込む。出来るだけ気にしないよう仕事やプライベートに打ち込んで誤魔化す。
そうして気づけばもう妊活を始め1年になってしまったのだ。
だから問診票に丸をつけることはできても口にはしたくなかった。
私にとって「不妊」というキーワードはタブーだったのだと思う。
しかしこうして病院に通いはじめた今、私は自身の不妊と向き合うことにした。
これからも少しずつここには思ったことを書いていければと思う。
ここには夫にも友人にもなかなか言い出せないことを書き留めていこうと思う。
不妊治療を始めるきっかけは先月。旅行に行く為に生理を遅らせるべく、婦人科を訪れた時のこと。
問診表の来院目的には予め選択肢が並んでいて該当のものに丸をつける様式だった。
私の目的であった「生理を遅らせたい」以外にも「子供が欲しい」という項目があったのでそちらにも丸をつけた。
結婚して4年。いわゆる"妊活"を始めて1年たつけれど子宝に恵まれないことが気がかりではあった。
せっかく婦人科に来たのだし、問診票にもわざわざ書いてあるのだからそれなら一緒に診てもらおう、という今思えばそんな軽い気持ちだったと思う。
診察室に呼ばれてすぐ、先生が「生理を遅らせたいんですね」と話を進める。
早めるのは難しいので遅めましょう、処方する薬はいつから飲んで下さいと淡々と話が進み
「では、外の待合いでお待ち下さい。」
と言われた。
まだ子供が欲しいという話題には触れていないけれど、デリケートな問題だし別の不妊専門の先生が診てくれるんだろうか?と勝手に思い待合い室へ戻った。もちろん次に私が呼ばれたのはお会計だった。
当たり前だろう。診察室はさっきの部屋で、私の診察はさっき終わったのだ。
問診票の項目を見落とした相手も悪いが、不妊についての話も聞きたいと言い出せなかった私も悪い。そう考えたらなんだか自分が情けなくなり、このまま知らんぷりをして帰ろうかとも思ったが、今日聞かなければいつ聞くんだと思い、会計のお姉さんに「申し訳ないのですが問診票に書いた来院目的が2つあり、まだ1つしか解決していないのですが…」と伝え、そのあと不妊の話を聞き、一通りの検査をして、まずはタイミング療法を行うことになった。
この日の出来事は先生や会計のお姉さん、他にも診察を待っていた方々にも迷惑をかけたと思うし、本当に申し訳ないと反省している。
先生に「外の待合いでお待ち下さい」と言われた時点でどうして「今日は不妊の話も聞きたいのですが」と私は言えなかったのか。
学生時代、性教育の授業では望まない妊娠を避ける為に避妊は必ずするようにと教えられてきた。
だから私は結婚前はもちろん、結婚後も妊娠を望まぬ間はずっと避妊してきたのだ。
周りをみてみると20代前半はいわゆる"デキ婚"をした知人が何人かいたし、20代後半になると結婚し子宝に恵まれる知人も増えてきた。
だから結婚し妊娠を望む今、私も避妊をしなければすぐに妊娠出来ると思い込んでいた。
妊活を始めてすぐは今妊娠したら何月生まれになるのか?顔は私と主人のどちらに似るのか?男の子か女の子どちらになるか?と楽しい気持ちでいっぱいだった。
しかし次第になかなか妊娠できないことに気づく。生理が来る度に今月も駄目だったのかと落ち込む。出来るだけ気にしないよう仕事やプライベートに打ち込んで誤魔化す。
そうして気づけばもう妊活を始め1年になってしまったのだ。
だから問診票に丸をつけることはできても口にはしたくなかった。
私にとって「不妊」というキーワードはタブーだったのだと思う。
しかしこうして病院に通いはじめた今、私は自身の不妊と向き合うことにした。
これからも少しずつここには思ったことを書いていければと思う。
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